日本の国際競争力

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グローバルな人材獲得競争(私の海外での観察から)

私は、1986年から88年まで、アメリカ、ポストンに留学しました。そのとき感じたのは、アメリカには適わない、ということと、中国、韓国は、近い将来、日本のライバルになるだろう、ということでした。 

アメリカに適わないと思ったのは、人材をグローバルに集めていることを目の当たりにしたからです。ハーバード大の教授は、実に様々な国々から来た人たちで占められ、大学院生も、アメリカ人よりも中国人、ロシア人、ヨーロッパの国々から来た人たちが多く在籍し、彼らが本当に朝から晩まで研究し、それでも多くの人たちが脱落してゆくことに驚いたものです。 実に凄い競争が繰り広げられている光景は、驚きでした。しかも卒業生の多くはアメリカに留まるのです。 本当に、アメリカは人材を世界から掃除機で吸い取っている、そんな感じでした。 

当時は、日本経済はとても元気で、ちょっとは誇らしく思っていたのですが、中国人留学生がハングリーで元気なことには驚かされたものです。 数もたいへんなものでした。
 
その後、90年にドイツのマックス・プランク研究所にも1年ほど滞在しました。その当時は、研究所内は国際色豊かとはいえ、ドイツの大学を見ると、殆どがドイツ人の教授と学生という感じで、日本とはそう変わらない感じでしたが、ベルリンの壁崩壊をきっかけに、東欧の人たちが、西欧に大量に流れ込みました。 その後、ユーロの結成、通貨統合とあっという間に、国境が取り払われた感じで、ヨーロッパの大学は随分国際化しました。 

その頃から、国際的なチームを組んで研究することも増え、アメリカだけでなく、ヨーロッパも大学院生は国際色豊かなものになって行きました。 IHES(フランス高級科学研究所)にもロシア人の教授など海外出身の教授が目立つようになりました。 

それに比して日本はどうだったかというと、未だに留学生は少なく、人材の質、量ともに劣っているように感じます。個人として優れた研究者はそれなりに居ますが、スクールを作って研究するのが下手で、最近は成果の質・量で海外に見劣りしています。

日本では、学生、研究者の国際化が進んでいないのです。