ウォール街が韓国証券市場に背を向ける理由

 ニューヨークのマンハッタンで働くある韓国系金融投資会社トップの悩みは「韓国からは度々来るというのにこちらには会おうという人があまりいませんね」だ。毎年秋になると相当数の韓国企業の投資家管理(IR)チームがニューヨークに来ると連絡してくる。会えそうな投資家を紹介してほしいと言うことだ。だが米国系ファンドのうち韓国企業と直接会おうという所は思ったほど多くない。数年前には韓国証券市場に関心が大きいファンドが相当あったが、その数は減り続けている。

 

「韓国市場はカネにならない」撤退する外資系の資産運用会社 - ライブドアニュース

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 最近香港で韓国株の売買を仲介するブローカーは、いつ解雇通告を受けるか分からず戦々恐々としている。米系金融会社A社は韓国市場担当のブローカーを一時は7人雇用していたが、徐々に削減し、最近は2人まで減員した。資産運用業界関係者は「数年前は世界的な投資ファンドが韓国市場で812銘柄を選んで投資していたが、現在は5銘柄にも満たないことも多い。韓国企業の業績見通しが暗いため、韓国株式市場に対する期待感も低く、関心度も後退した」と話した

◇韓国に魅力のある企業はあるか

 理由はさまざまだ。米国の投資家は主に世界を舞台で活動する韓国大企業に対する関心が高い。グローバル市場で存在感がある「インダストリーリーダー」を主に買う。サムスン電子現代自動車ポスコ現代重工業などが代表的だ。サムスン電子はあまりに大きい会社のため証券会社を通じず直接IRをする。以前は最高財務責任者(CFO)が直接出てきたが、何年か前からは静かにIRチームだけ寄って行く。残りの企業は経営状況が良くない。率直に業界のリーダーと呼べるほどの企業は残っていない。

 韓国証券市場には新たに浮かび上がるスター企業もほとんどない。経済成長が遅くなり、規制障壁が企業活動を妨げたためだ。国際投資家には金を稼ぐ機会があまりないという話だ。最近輝いているところがサムスンバイオロジックスだった。しかし「会計スキャンダル」でめちゃくちゃになった。米国のあるヘッジファンド関係者は「本当に粉飾決算ならば上場(IPO)を許可した金融当局から過ちを問わなくてはならないのではないか。こうした不透明性が韓国投資を敬遠させる」と話す。


 

サムスンバイオ、粉飾会計疑惑が浮上 CFOは全面否定 :日本経済新聞

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バイオロジクスによると、エピスに出資する米製薬大手バイオジェンが合弁契約に基づいて出資比率を引き上げる意向を示したため、15年12月期にエピスを子会社から関連会社に変更。国内法に沿ってエピス株を時価に評価替えしたことで、赤字から黒字に転換した

 一部韓国企業の理解しがたい「浮気」も投資を敬遠させる要素だ。本業ではなくゴルフ場を買収したり、突然エンターテインメント産業に進出するケースが多いということだ。年金基金など長期投資するファンドはこうした株式を好まない。分析するのが容易でない上にこれまで同様のことで何度も頭が痛くなることを経験したからだ。ヘッジファンドはしめたとばかりに空売りを打つ

 市場の構造的要因もある。ウォール街ではいつのまにか上場指数ファンド(ETF)などパッシブファンドが市場の中心となった。パッシブファンドを管理する人たちは個別企業のIRチームに会う必要がない。指数に追従するため時価総額中心に株式を買って保有すれば良い。最近モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)新興国指数で中国本土株(A株)が占める割合を拡大している。新たに編入する株式があるならば百発百中中国株だ。

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MSCIファクター指数は、過去、長期でリスクプレミアムを提供してきたファクター(低ボラティリティ、バリュー、サイズ、配当利回り、クォリティ、モメンタム)を獲得するよう設計された指数です。ファクター指数は特定の特性を持つ銘柄を目標にしており、従来のパッシブ及びアクティブ運用の両方について容易に実践でき、再現できるものです

 

◇株式も「海外直接購入」だけ活気

 韓国株に対する関心が低いためニューヨークの韓国系金融投資会社が最近力を入れている業務が韓国の投資家にアマゾンなど米国株の売買を仲介することだ。韓国投資家の米国株式決済額は今年に入り9月20日までで164億2000万ドル(7月30日時点 日本円で1,783,868,800,000 円)に達した。

 国際投資家は今年に入り韓国証券市場で2011年以降で最大となる5兆ウォン以上を回収した。ドル高と広がる韓米金利の影響が大きいと分析される。しかし本質的に為替相場金利などの変数は時間が流れれば変わる。為替相場金利のためという説明だけでは苦しい。核心は企業と経済のファンダメンタルズだ。韓国の成長率は落ち、良い企業は消えている。それがウォール街から見た国際金融資本が韓国証券市場に背を向ける根本的要因だ。