北新宿の再開発、新宿6丁目の再開発について

 西新宿のビル街の地価下落率は20%以上(国土交通省3月発表)であるという。3年前に大手不動産会社は開発用地を高値で購入した。しかし、現在は抱えた土地の「損きり」を余儀なくされているとのこと。北新宿と日本テレビゴルフガーデン跡地(日テレ跡地)の大規模開発では、三菱地所大和ハウスなどの企業群が開発を主導したが、今回1000億円の損失を計上した。そういったなか、借入金の返済のために、損を出してでもビル売却に踏み切るところも出ているとのことだ。
 今回の都心における地価下落が目立ったのは、北新宿2丁目再開発と、新宿6丁目の日テレ跡地である。この2件の再開発に中心的に参加しているのは三菱地所で886億円にのぼる損失を計上している。地価上昇傾向にある2007年に、三菱地所はこの地を超高値で買っている。東京都施行の北新宿再開発では平和不動産と三菱地所は、1街区の土地(4370坪)を1154億円で購入している。この金額は、周辺路線価の約4倍である。
(参考:平和不動産に関するニュース http://www.nsjournal.jp/news/news_detail.php?id=203343

 その一方で、日テレ跡地(新宿6丁目)開発では、平和不動産・大和ハウスらと特別目的会社(SPC)を組んで、分譲対象の街区(2・6ヘクタール)を2300億円で取得している。この金額は、周辺路線価の約8倍である。(参考: http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C873682283/E20071031104351/index.html)なぜ、こんな高値で購入したかというと、周辺のオフィス賃料(坪1〜2万円)が、大江戸線東新宿」の開通(2008年)により、坪4万円程度になると、予測していたからである。
 しかし、予想に反して、地価が下落した結果、取得時のなんと6割までに資産価値は落ち、現状では投資額の回収が見込めず、想定した事業採算の大幅な見直しを迫られているというわけだ。
 そのため、三菱地所は北新宿再開発では開発幼稚の減損分として342億円を計上し、日テレ跡地開発では出資先SPCの評価損として544億円を計上している(参考:http://company.nikkei.co.jp/news/news.aspx?scode=8802&NewsItemID=20100326NKM0057&type=2)。ちなみに大和ハウスは90億円、平和不動産は46億円を特別損失に計上している。
 ところが損失を明らかにしたことで、三菱地所の株価は上昇している。その理由は「これ以上、負の資産が出てくるリスクが消えた」と評価されたからだ。
 北新宿再開発(1街区)は、35階オフィスビルに続いて、予定より遅れていた20階住宅棟も工事が始まった。11年度に竣工予定。 また、日テレ跡地も32階住宅棟(S街区)、20階オフィルビル(N街区)の工事を進めていて、12年度に竣工予定。
 三菱地所は坪4万円の賃料収入を想定したが、ビル完成時に景気が回復しているか否か次第だろう。