もっと養子を取りやすい社会を

 少子化が言われる昨今。識者はいう「若者の結婚件数が増えれば、子供は増えるはずだ」と。
 しかし、若者の結婚件数は増えることはないだろう。

 とりわけ独身男性には、生涯結婚しないと決めているひとが多い。独身女性でもそういう人が増えているという。男性のほうが女性よりも未婚率は高い。つまり、男性は離婚しても再度結婚する人が多いということ。
 まったく結婚しない人というのは、男性の方に多い。

男性の生涯未婚率2割を突破・・・30年で8倍
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/gender/1336631074/

 さて、日本の、現行の民法は「養子」を取る際に、結婚した夫婦であることを条件としている。(それ以外の特殊な養子のケースもあるが)

 
 http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_08/index.html
 未成年者を養子とする場合又は後見人が被後見人を養子とする場合は,それぞれ家庭裁判所の許可が必要です。
 ただし,自己又は配偶者の直系卑属(子や孫等)を養子とする場合は家庭裁判所の許可は必要ありません(養子又は養親となる人が外国人の場合は,家庭裁判所の許可が必要となることがあります。)。
 なお,未成年者を養子とする場合で,養親となる者に配偶者がいる場合は,原則として,夫婦が共に養親となる縁組をすることが必要となります。
(↑上記は、最高裁判所ホームページからの引用)

 いずれにしても、「未成年者」と「養子にとってもいいよ」と考える人との間で、たとえ合意があっても、家庭裁判所の許可がないと養子に取ることができない。つまり、届出制ではなく、許可制となっているようだ。
 また、単身者が未成年を養子をに取る場合は、養子を取る側が「夫婦」であることを条件として要求される。

 家族法の「判例百選」を昔、見ていると、尼寺の住職が、後継者として養子を摂ろうとしたら家庭裁判所に拒否をされたという事例がある。
 また、野田聖子(国会議員)は、養子を取ることを希望したが、それも法制度の壁で断念したという。

野田聖子議員、養子縁組を断念しての、代理母出産
 http://blog.chiisana.org/?eid=1402381
 しかし、ここでも壁にぶつかります。特別養子縁組制度の趣旨は「子どもを願う親のため」よりむしろ「親を必要とする子どものため」です。ですから、子どもが自立するまでの安定した養育(経済・体力等)のために一定の年齢基準などがあります。また、養子は実子以上にふれあいを必要とするとされ、両親のどちらかが休職や退職をして育児に専念することが求められます。

(↑上記は、中絶反対・養子推進の立場で書かれているとおもわれる「命と性の日記〜日々是命、日々是性」というブログからの引用)

 いわゆる孤児が「親」をもっとも必要とする期間というのは、学童期〜大学進学のころまでである。もちろん、それ以降も関係は続くが、その時期に親がいないことは致命的に不利になる。

 夫婦ではなく独身者も養子を取れるように制度改革すれば、孤児が親を持つことも出来る機会も増えるだろう。いわゆるニートという独身男性も増えているというが、いわば専業主婦のようなものだ。そのニートが親として養子をとって、自由時間に勉強でも教えてあげれば、いいのではないか。外の競争社会で生きることを拒否しているからといって、子育てができないとは限らない。むしろ、良い結果が出るだろうと思う。

 現在、日本では報告されている限りで30万件の中絶があり、実数では100万件程度の中絶があるという。もし、そのうち半分でも無事に出生してくれていれば、日本は「少子化」で苦しまなかったであろう。
 少子化は、我々の社会の不道徳による結果である。