都知事選から1か月間経過して思うこと

都知事選(2月9日)が行われて3月9日で、ちょうど1ヶ月になる。
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/h26chijisokuho/index.html

 

 大きな国政選挙が、今後3年間は無いことから、多くの関心と期待を呼んだ選挙である。
 当選した舛添都知事は毎日、都庁に登庁しているようで、猪瀬・石原といった「たまにしか出勤しない都知事」が十年以上続いたこともあり、東京都の職員は、新都知事にやる気を感じているという。

 

 舛添氏の勝因であるが、やはり多摩地区を重点的に回ったことが関係するだろう。また商業マスコミがやたらと持ち上げた細川護煕候補については、5000万円で辞職した猪瀬に対して、1億円を佐川急便からもらったという「倍返し」の過去を持つ経歴で、そもそも立候補する資格すら細川護煕には無かったのではないかと思う。
 水島総氏がいうように「細川護煕」には石油資本をはじめとするグローバル企業が付いているということであるが、現にアラスカ州の公式サイトでは東京電力への天然ガス・石油に言及されており、小泉純一郎細川護煕がそばにいたことからも、いわゆる新自由主義なんだろうというのが明瞭だ。いまだ細川護煕の立候補動機は不明である。

 

 「貧困系保守」の論客の赤木氏は、以下のように述べる
http://blogos.com/article/78783/
> 反原発の妄想ばかりが炸裂し、まったく投票に行く気が起きない東京都知事選であるが、後出しじゃんけんで反原発の支持を得ている細川護煕候補陣営が、なんと「脱成長」などと言い出したようだ。(*1)
> 低成長の時代にひたすら我慢させられ続けた僕たちからすれば、金持ちの傲慢にしか聞こえない脱成長発言だが、これまで経済成長の恩恵を得てきた人たちもまた、こうした脱成長発言を支持するのではないかと、僕は考えている。

 

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 私がとりわけ気になったのが、以下の3候補である。

 

 (1) 鈴木達夫候補 初日にポスターを全掲示板に貼ったという持点で、泡沫候補ではないわけだが、なぜか、マスコミは「家入一真」「中松義郎ドクター中松)」を出すことはあっても、鈴木達夫候補をテレビで発言させるということはなかった。
 実質的に唯一の「五輪返上」候補なのだから、都政に関することとして、テレビは彼を出演させるべきであったであろう。また彼が出演すれば視聴率もとれたはずだ。おそらく、民放がオリンピック放映権の関連利権の関係で、反オリンピックの機運が視聴者の中に生じるのを回避したからだろうと推測する。
 結論から言えば、鈴木達夫候補をもっとマスコミで発現する機械を与えるべきだった。

 

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 (2) 田母神俊雄候補 いわゆる(マスコミがいう)主要4候補の中で、異彩を放っていたが、キャスター(田原総一朗)が都政とは関係のないことを繰り返し質問していた。彼は、防災を主たる公約としていたが、それについては、きちんと田原総一朗からは質問がなされていなかった。彼の敗因は、都心部(渋谷・池袋・秋葉原)など他県住民が利用するターミナル駅を中心に街頭宣伝していたことである。そして居住民が多い「多摩地区」は、ほとんど廻っていなかった。
 渋谷は神奈川県民が多く、秋葉原では千葉県民が多く、池袋では埼玉県民が多い。秋葉原での演説回数が多かったせいか、中央区千代田区で優位な票を獲得している。ちなみに3月11日は東日本大震災の日であり、特番も毎年組まれるが、もし投票日が3月16日などであれば、震災特番の影響もあり、さらに票を得ることができたであろう。既存マスコミは田母神氏への60万票を右傾化と表現するが、都内では大正時代に設置された下水道を使っていることからも分かる通りインフラ整備は不十分であり、震災の際に死因となる電柱倒壊を防ぐための電柱地中化も進んでいない。したがって、地震などへの危機意識が田母神氏の得票につながったと観るのが客観的だろう。
(逆に言えば、石原・猪瀬都政が防災対策をあまりやってこなかったということである。)
 投票日は雪が降っていて、災害(雪害)への不安が高まっていた。実際に、雪害で秩父市が孤立するなどの惨事があったのは投票日以降であるが、投票日には雪による交通障害がすでに発生していた。したがって(雪害を含む)災害への不安が田母神氏への投票につながったと解釈するべきだろう。(実際に秩父市では、自衛隊が人命救助のための除雪作業を行った)

 

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 (3)宇都宮健児 前回、猪瀬(笑)が当選した都知事選で2位につけていたことから、当初は本命と目されていたが、細川というよくわからない脱原発候補に票を割られる結果になった。しかし、細川がマスコミに露出するたびに、細川の無策さが露呈して、中盤より、支持が戻ってきた格好だ。
 ちなみに、同じく脱原発候補としては、上記の鈴木達夫候補もいるが、鈴木達夫候補が「脱被曝」を訴えて、(いわゆる)放射線汚染区域からの避難を呼びかけている点が異なる。
 ちなみに千葉県などの南関東放射線影響区域からの避難者への雇用促進住宅の貸与は3月31日で切れて、彼らは雇用促進住宅(多くは昭和40年築)から追い出されることになる。厚生労働省の決定だそうだ。
 もともと宇都宮健児氏は「反貧困」の活動をしていたことから、貧困層が増えつつある都内で有権者の支持を獲得する可能性は十分にあり、実際に後半戦で巻き返して、細川を追い抜いて2位につけた。
 しかしながら、対立候補舛添要一が「福祉」を訴えたため、そういった貧困層の声を桝添に吸収された感がある。
 しかしながら、(水嶋総氏が言う)グローバル資本の代理人である細川護煕を打ち負かした点は評価できるだろう。
 それにしても、猪瀬が、いまだに起訴されていないのはなぜだろう?宇都宮健児に票が集まった背景には、「猪瀬の追求を再度やる」と宇都宮健児氏が言明していたこととも関係があるだろう。(逆に鈴木達夫候補は「1000万人で安倍倒そう」といった都政的ではなく国政的なキャッチコピーだった。)
 また宇都宮健児氏は反グローバル資本である点でも、細川護煕と対照的だった。
 反TPP(反グローバリズム)という点では、田母神俊雄候補と宇都宮健児氏が一致しているという点も興味深い。

 

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 選挙が終わるとマスコミの取り上げ方が公正であったか否かが、議論の対象になる。
 しかし、マスコミに好意的に取り上げてもらっても自爆する細川護煕のような候補もいる。したがって、マスコミに好意的に取り上げられなくても、着実に票を獲得する候補もいる。有権者は観るべき点は見ているのだ。
 というのが都知事選から1ヶ月経過した現時点での、私の都知事選への感想である。