■転載■11月15日の田原総一朗氏のメルマガより

そういえば海上保安庁一色正春氏がsengoku38として動画を公開しましたが
ああいうのが処罰対象になるんでしょうね。

民主党政権などが復活する可能性も(理論上は)あるので、どうかなと思いますね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


田原総一朗です。

11月11日、僕は鳥越俊太郎さん、岸井成格さん、田勢康弘さんら、テレビキャスターの仲間たちと記者会見を開いた。
特定秘密保護法案への反対を表明したのだ。
10月25日号のメルマガでも特定秘密保護法案について一度書いたのだが、
改めてその危険性を訴えたい。


正直、僕はこんなアブナい法案は、通らないのではないかと思っていた。
ところが野党の反対もほとんどない。
このままいけば、可決することになってしまうだろう。
だが、僕が何より怖いと思っていることがある。
重苦しい空気が、日本中に蔓延し始めているということだ。

今回、記者会見を開くに当たり、僕たちは多くのジャーナリストに声をかけた。
ところが、10人以上から、「まったく同意見だし、加わりたいのだが、自分の名前を出すことは勘弁してくれ」という返事がきたのだ。

誰もが自由に発言し議論を戦わせ、そのうえで物事を決めていく。
これが民主主義の根幹であろう。
ところが、特定秘密保護法案への反対表明が、怖くてできないというメディアの人間が、僕の周りだけでも、これだけいるのだ。

実は僕たちは、2002年にもいわゆる「メディア規制三法」への反対声明を出している。
やはり仲間たちに声をかけた。
そのときは、名前を出せないと言う者はいなかった。
ところが、今回はまったく雰囲気が違うのだ。
いったい、この「空気」は何なのか。


もうひとつ、怖ろしいと感じることがある。
僕たちの記者会見を、毎日新聞東京新聞、そして朝日新聞が記事にしている。
だが、読売新聞、日経新聞産経新聞は報じていないのだ。

それぞれの新聞が、どういう立場をとるかは自由だ。
そもそもメディアが中立的立場をとるのは無理だ、と僕は思っている。
だが、どのような立場にせよ、メディアを名乗るならば、賛成と反対双方を取材して、十分に議論を戦わせるという姿勢が、最低限必要なのではないか。
原発の問題にも言えることだが、反対の意見をまったく報じようとしない。

このようなメディアの姿勢が、重苦しい空気を生み出し、日本中に蔓延させているのだと僕は思う。
特定秘密保護法案が通れば、この重苦しさが、さらに増すのは間違いないだろう。


この法案の問題点は、以前にも述べた。
まず対象となる「防衛」「外交」「スパイ活動」「テロ」の4分野が、
きわめてあいまいなことだ。
そして、秘密指定の期間の30年も、その時点での内閣が承認すれば、自動延長できるというのも問題だ。
永久に「特定秘密」とされる可能性もあるのだ。

だが何よりも問題なのは、「特定秘密」の妥当性を誰もチェックできないということだ。
「特定秘密」を指定するのは行政機関だが、その判断をチェックする機能を持つ組織がない。
アメリカにも同様の法律がある。
最高刑も死刑と重い。
一方、秘密の指定についてのチェック機関として、独立した委員会が2つ存在している。
当然、日本もチェック機能を持つ組織を作るべきなのだ。


特定秘密保護法案には、いくつも危うい問題点がある。
だが、これを指摘する報道はなかなか見られない。
恣意的なのか、忘れられたのかわからない。
なぜこのような大事な点が抜け落ちた法案になってしまったのか。
今こそ徹底した議論が必要だ。
声を大にして訴えなければならないと僕は思っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━